続々開校するインターナショナルスクールは誰のためか?

インターナショナル校が続々開校

すでに各方面でニュースになっていますが、日本で新たな英国系の名門インターナショナルスクールが次々と誕生しています。

ブルームバーグによると、

 ラグビースクール・ジャパン(Rugby School Japan)、

 ハロウインターナショナルスクール安比ジャパン(Harrow International School Appi Japan)、

 マルバーン・カレッジ東京(Malvern College Tokyo)など、

いずれもイギリスの名門校が、最近新たに日本に展開していることになります。

 

でも、日本人がインターナショナルで、グローバルな教育を受けるケースが増えてきたのかと言うとそうでもないようです。

英語、日本語、中国語のサイトが用意されている。

 

ハロウインターナショナルスクール・安比ジャパン校

ハロウインターナショナルスクール・安比ジャパン校は、今年8月に岩手県安比高原に開校しました。

ハロウ校は、450年の歴史を持つ、英国の名門パブリックスクールとして国内外に有名で、元英国首相のウィンストン・チャーチルなど多くの偉人を輩出しています。ハロウの海外校は、中国をはじめ、アジアに9校を展開していますが、日本では初めての関連校です。

この安比ジャパン校も、このハロウ校を母体とした英国式の全寮制教育を受けられるとのことで、このような学校は、日本では非常に珍しいものです。

11歳から18歳(英国式に言うところの、7年生から13年生)の学生が対象です。私は、英国式の全寮制の学校というと、どうしてもハリーポッターのホグワーツ魔法学校をイメージしてしまいます。あのような大広間で食事するのでしょうかね。

国際カリキュラムを使用して効果的な指導と学習を行い、卒業生は、世界的に有名な大学への進学を想定しています。

ユニークな課外プログラムでは、スポーツ、クリエイティブアート、コミュニティサービス活動などに力を入れており、スポーツアカデミーでは、スキー、水泳、テニス、ゴルフ、サイクリングなどの専門的な指導を行うとのことです。

授業料と寮費を含めた年間費用は、849万円から927万円とのことで、日本においてはなかなかの富裕層の子弟しか入学することができないでしょう。

ここでだいたい察しが付くかと思いますが、想定している生徒は日本人ではありません(学校は公言しないでしょうが)。

とはいえ、日本にいる英国人・欧米人の子供たちが急に通うとも考えられません。

欧米の教育を受けさせたいという中国の富裕層の子弟のために、日本の名門インターナショナルスクールが次々と開校しているようなのです。

現に、安比ジャパン校のサイトを見ても、日本語と英語のほかに、中国語のボタンが非常に目立つ箇所に配置されています。

中国のニュースサイトでも大きく報じられています。

 

熊本のインターナショナル校

熊本市のインターナショナルスクールが、9月20日各種学校として認可されたというニュースも出てきました。

何故、熊本市かと言えば、台湾の半導体大手企業TSMC(台積電)が、現在、熊本市に隣接する菊陽町で新工場の建設を進めていて、2024年12月の操業開始を予定しています。これに伴い、今後、主に台湾からの駐在員とその家族600人余りが来日するとのことです。

熊本市のインターナショナル校は、その駐在員の子どもたちのための学校として準備を整えているというわけです。

現在は、小学部のみですが、今後、中等科、高等科の設立と新校舎の開設が予定されています。将来的には台湾から教師を呼び寄せ、中国語の教育も始める予定と報じています。

 

インターナショナル校と留学ビザ

インターナショナルスクールに通う学生は、「留学」の在留資格(ビザ)を取得できるのでしょうか?

結論から言うと、その学校が各種学校として「認可」されていれば、「留学」ビザが申請できる可能性があります。

無認可の場合は、「留学」ビザは下りませんので、「家族滞在」などの別のビザで日本に滞在する必要があります。

また、インターナショナルスクールに通学する場合には、日本語能力や、日本語学習歴は必要とされません(第5号要件)。

 

ニセコ、宮古島と続いて、安比高原も、もはや日本人のための行楽地ではなくなり、外国人のための施設ばかりになる日もそう遠くないのかもしれません。それと同時に、安い日本で工場を設立して、日本が世界の工場になっていくのかもしれません。