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今回は、再婚禁止期間の短縮についてご説明します。
2016年6月1日、民法の一部を改正する法律が成立し、女性の再婚禁止期間が離婚の日から起算して100日に短縮されるとともに、一定の条件を満たせば再婚禁止期間内でも再婚することができる場合について明らかにされました(2016年6月7日公布・施行)。
これまでは、民法の再婚禁止期間は6か月と定まっており、6か月を経過しないと再婚できないことになっていました。
外国人であっても、日本で再婚する場合には、この規定を守る必要がありましたので、従来の場合、例えば日本人男性と離婚した外国人女性がもう次の再婚相手がいるような場合であっても、離婚してから6か月は待つ必要があり、在留資格(ビザ)の更新期限に間に合わなかったり、6か月間日本人の配偶者としての活動を行っていないために、在留資格の取消しの対象となったりする可能性がありました。
今回の改正で、離婚して再婚を検討している日本在住の外国人女性にとって、プラスとなる改正ではないかと思います。
民法改正の概要
今回の民法の改正の概要は次の2つになります。
- 女性(外国人も含む)に係る再婚禁止期間を前婚の解消または取消しの日から起算して100日としました。
- 女性(外国人も含む)が前婚の解消若しくは取消しの時に懐胎(妊娠)していなかった場合または女性が前婚の解消若しくは取消しの後に出産した場合には再婚禁止期間の規定を適用しないこととしました。
それでは、実際の届出手続きについて、見ていくことにしましょう。
婚姻の届出の手続きについて
1.女性(外国人も含む)に係る再婚禁止期間を前婚の離婚の日から100日とすることについて。
これについては、100日を経過していれば、再婚の婚姻届を受付けるということで、婚姻届の手続きそのものに何か変更があるわけではありません。
実は、2015年12月15日に最高裁大法廷において、この再婚禁止期間について「100日を超えて再婚を禁じるのは過剰な制約で違憲」とする初判断を示して以来、今回の法改正がなされるまでの期間も、実際の行政を行う市区町村役場では、すでに離婚後100日を超えてからの女性を妻とする婚姻届は問題なく受理するという現場の運用がなされていました。今回の法改正でようやく法律と実際の運用が一致した形になります。
2.前婚の離婚日から100日を経過していない女性の婚姻の届出の取扱いが、今年6月7日から開始されることになりました。
このような場合、その女性が前婚の離婚時に懐胎していなかったか、または、女性が前婚の離婚後に出産したか、のいずれかに該当すると認められる必要があります。その証明書として、婚姻届の際に、「民法第733条第2項に該当する旨の証明書」を添付し、また、その他の婚姻要件を備えていることが分かれば、婚姻届は受理され、婚姻することが可能となります。
「民法第733条第2項に該当する旨の証明書」とは、どのような証明書かと言いますと、病院の医師が記載する証明書になります。医師の診察を受ける際に、離婚日などを申告し、診断してもらいます。当然ですが、離婚日について誤って別の日を医師に申告した場合には、本証明書を作成してもらったとしても、再婚禁止期間内の再婚が認められない場合がありますので,十分御注意ください。この証明書には、まず再婚をしようとしている本人である女性が特定できる事項が記載されており、
- 本人が前婚の解消又は取消しの日であると申し出た日より後に懐胎していること、
- 同日以後の一定の時期において懐胎していないこと、
- 同日以後に出産したこと
のいずれかに該当することを医師が証明する文書です。この証明書のサンプルについては、法務省のホームページにありますので、ご覧ください。
離婚日から100日を経過していないときに、上記の証明書が添付されていない場合には、婚姻届は受理されません。ただし、前婚の夫と一旦は離婚したのだけど、元の鞘に戻るといって再婚する場合など、これまで再婚禁止期間内であっても受理されていた婚姻の届出の特別なケースについては受理されることもあります。
再婚後のビザの手続きは?
今回の法改正で離婚後、再婚までの期間にあまりブランクが空くことなく、継続して配偶者としての活動を日本で行うことができるようになりました。このおかげで、ビザがいったん切れてしまうので、本国に帰国しなければならないというリスクは大きく減ったことでしょう。
もっとも、ビザの更新の際には、結婚相手が変わったことになりますので、何も身分上の変動がない単純な更新手続きとは異なり、初めての結婚の際にビザ申請で提出したのと同じだけの書類、例えば、交際から結婚までの経緯を説明する文書や、入国管理局所定の質問書などの書類を準備して提出する必要があります。
また、前婚はビザを取ってすぐに離婚していたが、日本にはずっと居続けていたというようなケースですと、離婚原因や離婚後日本で何をしていたのか、といった点を詳しく説明する必要があります。説明の如何によっては、在留状況が良くないとしてビザ更新が不許可になることも考えられます。そうならないための準備には時間がかかりますので、安心してばかりもいられません。
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