中国人のタイ・リタイアメント・ビザ(ロングステイビザ)
在日中国人のための泰国リタイアメントビザ(泰国养老签证)取得の方法
中国旅遊研究院とCTRIP携程が発表する中国人海外旅行ビッグデータ報告で、毎年のようにトップに位置しているのが、タイ王国です。
近年は、距離の近さから日本の大阪・京都・東京も上位にランクインしていますが、旅行のしやすさや物価の安さから、常に根強い人気を誇っているのが、タイ旅行です。
特に東南アジアに近い中国・雲南省の富裕層にとって、タイは、雲南省都昆明から飛行機で2時間かからない距離にあり、タイの不動産を別荘用に購入して、休みのたびにバカンスに出かけるなどのライフスタイルも珍しくなくなりました。
中国国籍の方が、タイに行くには、ビザが必要です。現在では、空港でオン・アライバル・ビザ(VISA ON ARRIVAL; 落地签证)が無償で取得できるようになって、気軽に渡航できるようになりましたが、これは、短期間の滞在のみに限られています。
そこで、もっと長期間ゆっくりと滞在したいいうニーズを受けて、
「リタイアメントビザ」(非移民Oビザ;养老签证)の人気が高まっています。
特に、生活に余裕がある世代にとっては、温暖な気候のタイで、1年間リタイアメント生活をしたいと思われることでしょう。
ここでは、在東京タイ王国大使館にて、日本在住の中国人の方が、
「リタイアメント・ビザ」(泰国养老签证)を取得する場合の申請について、行政書士がご案内します。
タイに長期滞在用のビザの種類は?
タイでゆっくりとロングステイを楽しみたい場合に、取得可能なビザは、2つあります。
- リタイアメントビザ(ノンイミグラントO-A;ロングステイ)
- 年金ビザ(ノンイミグラントO ;年金受給者)
年金ビザは、年金受給者である必要がありますので、シニア世代の方に限定されます。しかも、通常は、日本政府からの年金受給者となりますので、個人年金などは含まれません。リタイアメントビザに比べて、滞在期間が短く、シングルでは90日間の滞在しか認められていませんが、タイ国内で延長をすることができます。対象者は日本(または他国)の、政府年金受給者で、保険会社などによる個人年金は対象外です。
一方、リタイアメントビザの場合は、申請人が満50歳以上という年齢要件がありますので、比較的若い世代の方でも十分申請可能となっています。
リタイアメントビザの要件
- 年齢要件:満50歳以上(申請時)。
- 財産要件:次の3つの要件のうち、いずれか1つを満たしていること。
- 80万バーツ(約2,800,000円)以上の預金
- 月額65,000バーツ(約230,000円)以上の年金収入
- 預金および収入の合計額が80万バーツ(約2,800,000円)以上あること
- 素行善良要件:タイ王国の入国禁止者ではないこと及び犯罪歴がないこと。
- 永住要件:日本居住の外国人の場合、日本で永住権を持っていること。
- 健康要件:タイ王国が特定している病気(ハンセン病、結核、麻薬中毒、象皮病、第三期梅毒)ではないこと。
- 本人申請:申請者本人による申請をすること。代理申請は認められません。
以上が取得要件になります。
このビザでは、タイ王国で就労することはできませんし、永住権でもありません。
あくまでも、タイで、リタイアメント生活を送るためのビザであり、期限があるため、その都度ビザを延長する必要があります。延長手続きは、タイ国内のイミグレーションで申請します。
申請に必要書類
申請に必要な書類を挙げています。
- 有効期限が1年半以上あるパスポート(余白が2ページ以上必要)及び全頁コピー
- 申請書(Application for visa)証明写真を貼付し、すべて記入。2部
- 経歴書(Personal History)既定の書式に英文で記入。2部
- 航空券または予約確認書コピー 3部
- 財産証明書(公証役場と外務省認証済み,3カ月以内) 原本とコピー 2部 ※下記3つのうち1つ
- 英文の銀行預金残高証明書80万バーツ(約2,800,000円)以上が確認できる証明書
2カ月以上前からの残高が求められますので、定期預金が良いでしょう。 - 年金証書 月額65,000バーツ(約230,000円)以上の受給確認可能な証明書
- 銀行普通預金通帳と年金証書原本の合算で、80万バーツ(約2,800,000円)以上が確認可能なもの。
- 英文の銀行預金残高証明書80万バーツ(約2,800,000円)以上が確認できる証明書
- 英文の無犯罪証明書原本(警察で発行後、外務省認証済みのもの、開封厳禁) なお、指紋の採取必要のため、本人が警察に出向く必要があります。
- タイ指定の伝染病ではないことの国公立病院発行の英文健康診断書(病院で検査・発行後、外務省認証済み;3カ月以内)2部
- 医療保険
申請手続きについて
申請人本人が、タイ大使館に行って、申請する必要があります。
中国のパスポート所持者の場合、審査には10日~60日ほど時間がかかり、場合によっては、大使館が面接を要求することもありますので、十分な余裕を持ったスケジュールを立てる必要があります。
申請は、
VISA APPOINTMENT BOOKING ONLINE(VABO)
を通じて、事前予約を取ってから、予約確認書を持参して、予約した日時に大使館に行きます。予約がないと、大使館に入館することができませんので、ご注意ください。
取得できるビザは、1年間のマルチビザ(複数回渡航可能)です。
1年後、タイで延長も可能です。その際には、タイ国内の銀行で80万バーツ以上を預金していることが条件となります。
※10年のマルチビザは、次の対象国の方のみに限定されます。中国は含まれません。
オーストラリア、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、スイス、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、カナダ、アメリカ合衆国、日本
費用について
- 【タイ大使館】申請手数料:22,000円
- 【銀行】英文残高証明書発行手数料:約1,000円~
- 【国公立病院】健康診断書発行費用:約10,000円~
- 【警察署】無犯罪証明書:0円(警視庁)
- 【公証役場】外国文の認証費用:11,500円
- 【外務省】認証費用:0円
合計:約44,500円~
※これは、申請者がご自身で対応した場合にかかる費用です。
当事務所に、手続きのサポートをご依頼の場合は、別途報酬(30万円~)が発生いたします。