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外国人の創業人材向けの特例制度
アベノミクスの第三の矢としてスタートした国家戦略特区制度。
現在、東京圏を含む約10か所において、都市再生、医療・農業分野における規制改革の推進が実施されています。
特に、東京都では、2020年の東京オリンピック及びその先を見据えた長期ビジョンが策定され、世界をリードするグローバルビジネス都市の実現に向けて推進中です。
この東京都における規制改革の一つとして、外国人の創業人材の受入れにかかる入管法の特例の制度が生まれました。
今回は、この外国人の創業者の特例制度である、6カ月間のスタートアップ・ビザ(Startup Visa)についてご説明します。
6カ月のスタートアップビザ(創業ビザ)
この制度は、具体的に言うと、
東京都内で新しく事業を開始する外国人の方を対象にして、創業の準備期間として、6カ月の在留資格「経営・管理」(いわゆる「経営ビザ」)を与える
というものです。
通常の経営ビザを申請する場合には、原則、オフィスを確保し、会社等を設立し、500万円以上の投資を行うか、2人以上の従業員を雇用するといった具体的な創業活動を行ってからでなければ、経営ビザを申請することができませんでした。
今回のこの入管法の特例制度を使えば、会社設立などの創業活動を行う前でも、6カ月のビザが与えられます。
逆に言うと、この与えられた6カ月の期間内で、会社設立等の創業活動を行って、条件を整えることで、次回の更新ができることになります。
一方、類似の制度として、4カ月の経営ビザもありますが、それよりも2カ月長いため、やや余裕を持って準備が行えることになります。
メリットとデメリットは?
まずメリットとしてあげられるのは、従来の経営ビザでは、日本で資本を投下してからビザの申請という手順でしたので、もしもビザが不許可となってしまった場合、事業を開始することができず、多額の損失を被るといった大きなリスクがありました。
このスタートアップビザでは、投資を実施する前にビザが許可されますので、ビザをもらってから日本での会社立ち上げの準備が行えます。
つまり、ビザのリスクを最小限に抑えてビジネスを開始することができます。
一方、デメリットとしては、この制度を利用できる外国人に限定がある点です。
まず一つは、東京都で実施している制度ですので、東京都内で事業を開始する方限定となります。(福岡市等でも類似の制度が実施されています。)
東京都以外で創業する場合、東京都にオフィスがない場合には使えません。これはたとえ東京に住んでいてもダメです。逆に、オフィスが東京であれば、住まいが東京以外でもOKです。
そして、新規での創業に限られるため、事業承継等のケースは該当しません。
そしてもう一つは、新規で日本に入国する外国人を対象としているため、例えば、留学生として、すでに日本にいる外国人はこの制度を使えません。
2021年4月1日より、在留資格「留学」をもって在留する留学生の方も、この制度を活用することが可能となりました。
どのように申請するのか?
申請手順についてご説明します。
①まずは、提出書類を準備します。
書類の種類はビザ申請ほど多くはありません。
申請書、事業計画書、履歴書、パスポートのコピー、6カ月間の住居証明、資金証明等です。
ですが、この中で一番重要なのは、「事業計画書」です。事業計画を元に審査が行われるわけですから当然です。
- どのような事業を行うか?(事業内容)
- どこで事業を行うか?(事業実施地域)
- どのような準備、活動を経て事業を始めるか?(事業開始までの具体的な計画)
- 事業資金はどのくらい必要で、どのように調達するのか?(活動資金)
- 誰が役員となり、どのような役割を担うか?(組織)
- どの程度の事業を行うか?(事業規模)
といった内容を詳細に説明します。
計画については、実現可能性があるものを、説得力を持ってその理由を説明していくことが大切です。
東京圏国家戦略特別区域の区域方針に沿った「国際競争力のある新事業を創出する」ことも重要な要素となっています。
②東京都(ビジネスコンシェルジュ東京が窓口)に申請します。
直接申請人ご本人が行くか、または、弁護士・行政書士を通じて申請します。
日本在住のご家族が代理で申請することはできません。
認定された場合、2週間程度で「創業活動確認証明書」が交付されます。
残念ながら、不認定となった場合は、結果通知書が届きます。
③「創業活動確認証明書」を持って、東京入管局でビザ申請を行います。
審査後、ビザが交付され、晴れて6カ月間の創業活動が行えます。
その後、東京都が創業活動計画の進捗状況を確認します。
このように、東京都と東京出入国在留管理局の2段階の審査を通過する必要があります。
もしも、すでに会社設立等の準備が整っている場合には、無理に東京都へ申請する必要はなく、直接東京出入国在留管理局へ申請していただいた方がよいです。
不許可にならないためには?
このスタートアップビザは、東京で本気でビジネスを開始したい外国人にとっては非常に魅力のあるビザかと思います。
それには、熱意も含めて、事業計画書に具体的なビジネスプランと、ご自身のアドバンテージ、売上や資金調達の予想を記入し、アピールすることが必要です。
英語でも、中国語でもかまわないので、まずは、創業者自身で作成することが大切です。
自分のビジネスは、一人一人違いますので、一つとして同じ計画書は無いはずです。
とはいっても、何を書いていいか、書き方が分からない場合も多いかと思います。そういった場合には、是非ビザ専門家である行政書士にお問い合わせください。
ご相談の流れ
- STEP2 日本での事業計画を作成します
- ご契約後、行政書士と相談させていただきながら、下記内容を事業計画にまとめていきます。
- 起業に至った経緯
- 事業の概要
- 創業活動の工程表
- 利益計画
- 資金計画 等
- STEP3 当事務所等による東京都への確認申請~ビザ申請手続き
- 東京都への創業活動確認証明書申請手続きから、東京入国管理局へのビザ(在留資格認定証明書)申請手続きまでをワンストップで完了いたします。ご依頼から東京都への申請まで約1カ月となります。東京都の審査が約2週間、東京入管局の審査が約1~3カ月かかります。入管からの追加質問や書類の提出要求の際は、お客様と相談しながら進めていきます。
※在留資格認定証明書(COE)とは?
短期滞在ビザ以外で日本に入国する場合、海外の日本大使館等でビザ申請する前段階として、まず日本の入管局で審査し、条件に適合すると認められた後、在留資格認定証明書(Certificate of Eligibility)という証明書を交付します。この在留資格認定証明書を日本大使館等に提示してビザ申請をすれば、迅速にビザの発給を受けられます。
- STEP4 在留資格認定証明書(COE)交付後、来日まで
- 入管から無事在留資格認定証明書(COE)が交付されましたら、申請者ご本人様にEMS等で郵送します。
お客様は、本国の在外日本公館(または代理機関)に出向き、査証申請をしてください。中国の場合、約1週間でビザが下ります。これでいつでも来日できます。
来日後、住所を決めたら14日以内に市区役所での住所登録を忘れずに。
次のような方は、比較的スタートアップ・ビザが下りやすい方です。
- 本国で会社経営を行っている方
- 資本金に借入金はなく、すべて自己資金で出資し、本国での財産を証明できる方
- 年齢が30~50代の方
- 日本とすでにビジネスを行っている方
- 日本での留学歴や日本語能力がある方 等
上記に当てはまらない場合、留学生からの起業や、経営経験のない方の起業も許可されています。
詳しくはご相談ください。
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