難民認定について

当事務所では、留学ビザや就労ビザが更新できないからという正当性のない理由から、または、合理的な理由なく学校や就労先・研修先から逃亡したいわゆる「偽装難民」の外国人のサポートは一切行いません。このような正当性のない難民申請を行おうとしている方、行ったことがある方からの依頼はお受けできません。また、法令及びコンプライアンス規定にのっとり、厳正な対処を行います。

入管法では、外国人が通常日本に滞在するための在留資格(ビザ)の他に、難民認定手続きについての規定もあります。

ここで言う「難⺠」とは、日本も加盟している難⺠条約の規定により定義されているもので、人種、宗教、国籍、特定の社会的集団の構成員、政治的意見の5つのいずれか、または複数の理由によって「迫害を受けるおそれ」があること、国家の保護を受けられないことが必要になります。

 

自分が難民に当たると思う外国人は、申請者の住居地等を管轄する地方入国管理局に対して、難民認定申請を行います。その後、難⺠の地位に該当するか否かを法務⼤⾂が決定します。

難民認定の申請者は年々増加しており、2014年で5000人、2015年では7586人を超えています。

申請者の国籍別では、ネパールが最多の1768人、続いてインドネシア969人となっており、一方、欧州に押し寄せたシリアからの難民申請は、わずか5人に過ぎませんでした。

このうち、難民認定を受けた者は、2014年で11人、2015年で27人ですので、日本では難民認定に非常に慎重である国だと言えます。

難民認定申請の手続きは?

難民認定審査もビザの審査同様、書面にて審査が行われます。したがいまして、次の書類を入管に提出する必要があります。

  • 難民認定申請書(入管の窓口で配布しています。)
  • 申請者が難民に該当することを証する資料(難民に該当することを主張する陳述書を含みます。外国語の場合は、日本語訳文が必要です。)
  • 証明写真
  • パスポート
  • 在留カード(ある場合)

難民の認定は,申請者から提出された資料に基づいて行われます。したがって,申請者は,難民であることの証拠又は関係者の証言により自ら立証することが求められます。

 

法務大臣が難民であると認定した外国人には,難民認定証明書が交付され、「定住者(Long term resident)」ビザを取得します。

難民であるとは認定されなかった場合は、不認定及びその理由が通知されます。

現状、難民認定の申請から、結果の通知までの期間は、平均で8カ月かかっています。その後、不認定の場合でそれを不服として異議申立てを行った場合、再審査でさらに平均で2年4カ月かかることになります。

このように、審査期間が非常に長期化しています。

難民認定申請の現状

日本では難民認定に非常に慎重であると申し上げましたが、その理由として、これまでの申請内容の問題が挙げられています。

2014年に難⺠と認定しなかった者2906⼈の申し⽴て結果を⾒ると、約30%が難⺠条約上の迫害理由に明らかに該当しない内容であるとしています。

例えば、次に挙げるような理由で難民認定申請を行っているケースです。

  1. 借⾦問題や遺産相続等、主に財産上のトラブルを原因としている。
  2. 帰国後の⽣活苦や日本での稼働継続希望等の個⼈的事情を原因としている。
  3. 地域住⺠等との間に⽣じたトラブルや暴⼒事件等に起因する危害のおそれを原因としている。

当然ですが、この3つのようなことが原因であれば、先に述べた「難民」の定義に該当しないため、不認定になります。

難民認定は書類さえ整えば誰でも申請できることから、本当は難民に該当しないことを知っていて、もしくは、無知のため知らないで申請しているケースが多いというのが現状です。

実際に、当事務所にも、本国に帰国すると借金取りに殺されてしまう、という理由で、難民申請したいという問合せを受けたことがあります。このような理由から難民に認定されることはありません。

また、留学ビザや技能実習ビザを持ってしばらく日本にいて、期限間近になって難民申請をするといったケースも少なくありませんが、その場合、なぜすぐに難民申請しなかったのか?という疑問点が生じます。

ビザを単に延長する目的で、または就労目的で難民申請している人も中にはいます。

このように、難民性がないのに、一般的には単に働きたいという理由から、難民申請が濫用されていることもあって、その結果、本当に難民として保護が必要な人が、適切に保護を受けられない、そして、審査も無用に長期化しているという弊害が生じています。

難民認定制度と運用の見直し

もっとも、昨今の中東・アフリカにおける地域紛争、国際社会における難⺠保護の取り組みといった国際動向の変化に適切に対応する必要があるため、難⺠認定制度と運⽤の⾒直しを図っています。

例えば、2010年から、正規のビザを持って在留中に、難⺠認定申請を⾏った場合、⼀定期間経過後、仕事することを許可していましたが、就労しなくても⽣計維持が可能と判断される人などについては、審査中は日本の滞在は許可するものの、就労は許可されません。

そして、明らかに難民に当たらない人を審査の前に振り分けることで、速やかに認定できるよう効率化を図っているとのことです。

これにより保護すべき人が、迅速に、かつ、適正に保護されることを期待しています。

 

みなさんのケースは一人一人違いますので、簡単には判断できないことも多いかと思います。そういった場合には、是非ビザ専門家である行政書士にお問い合わせください。

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