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外国人は副業できますか?
サラリーマンが副業を行うことも、珍しいことではなくなってきました。従来は、会社が従業員に対し副業を行うことを禁止している企業が多かったのですが、コロナ禍の影響により、従業員に副業を認める企業も増えてきました。
むしろ、日本人よりも外国人の方が、世界的に見ても、副業を行うことで、収入の柱を増やして経済的にも精神的にも自由になるFIRE (Financial Independence, Retire Early)を目指して頑張っている方が多いように見えます。
しかしながら、日本で働く外国人の場合、自分の持っているビザの種類によっては、副業ができない場合があります。
結論を先に言うと、外国人が、FIRE(Financial Independence, Retire Early)になれるのは、永住ビザを取得してからなのです。
副業の問題点とは?
日本人であれば、副業しようと思ったときに、次の2つの問題を解決しようとします。
1)会社の許可(了解)
2)税金の申告
外国人の場合は、この2つの問題に加えて、
3)在留資格(ビザ)の問題
をクリアにする必要があります。
そして、在留資格の問題を考える上で、副業の種類が、重要なポイントになります。
副業の2つの種類
副業は、その性質から大きく分けて、次の2つに分類されるでしょう。
一つは、「投資運用系」の副業。もう一つは、「時間労働の実働系」の副業です。
投資運用系の副業
投資運用系の副業は、株式投資、FX、暗号資産、または不動産投資が代表的です。
この投資運用系の副業の場合、労働には当たらないケースが多いため、在留資格において問題とはならないことがほとんどでしょう。
その理由は、在留資格の考え方として、活動内容がポイントになるためです。活動(労働)を行わないこれらの投資系の副業は、在留資格の活動範囲の制限とは関係なくなるから、問題とはならないのです。
さらに、日本に住んでいる外国人であれば、日本人と同じように、NISA(Nippon Individual Savings Account)やiDeCo(個人型確定拠出年金)の優遇制度を享受することができます。NISA口座開設は、日本国内に住んでいる20歳以上であれば、誰でも一口座を開設することができます。口座開設に必要となるのは、有効期限内の在留カードとマイナンバーで、これらがあれば問題ありません。(参考サイト:在日外国人のためのNISAとiDeCo)
NISAは、そもそも英国のISAを日本で真似して作った制度ですので、外国人の方にもある程度知名度があります。一定額までは、運用益に税金がかからないNISAは、原則60歳まで引き出しできないiDeCoよりも外国人にとって始めやすい制度でしょう。NISAにはデメリットらしいデメリットはありませんので、外国人でも是非運用すべきです。もっとも節税効果の観点から言えば、所得税と住民税の節税効果があるiDeCoのほうが、高収入の外国人にとってメリットがあります。
NISAについて、日本証券業協会のサイトに英文の案内があり、わかりやすいかと思います。
また、中国では全面的に禁止されたBitcoinなどの暗号資産(仮想通貨)も、外国人が日本国内の取引所において口座開設することができます。
せっかく日本に住んでいるのですから、外国人でも享受できるこれらの金融制度をうまく利用しましょう。
結論を言えば、外国人が副業を行う場合、この投資運用系の副業が最も安全な方法であると言えます。
もっとも、投資運用系副業で、収入が大幅に増えてしまい、本業の収入を大きく超えるようなことがあった場合、本業がメインなのか、それとも副業がメインの活動なのか?といった点に疑義が生じうる心配はあります。
特に、不動産投資の場合、不動産大家業は、複数の物件を管理したりするなど、場合によっては投資運用ではなく、事業活動とみなされる可能性があります。ワンルームマンションを一軒所有し、賃貸に出しているといった規模であれば、事業活動には当たらないでしょう。
また、外国人で就労資格(仕事のビザ)を持っている場合、たとえ副業で大儲けをして、働かなくても良い経済的自由を手に入れたとしても、本業を辞めた時点で、在留資格の該当性がなくなり、日本にいることはできなくなります。
換言すれば、FIRE(Financial Independence, Retire Early)になってしまったら、就労ビザは更新できないのです。
したがいまして、副業という範疇から外れるかもしれませんが、本業で収入を増やし、それを元手にして、小規模の投資でコツコツ資産形成していくというのが王道でしょう。ビザのためには、FI(経済的自由)を早々に手に入れてしまったとしても、RE(早期退職)はしないで本業を継続する必要があります。
時間労働の実働系の副業
さて、もう一つの「時間労働の実働系の副業」の場合はどうでしょうか。
このタイプの副業は、元出となる資金はないが、スキルや時間があれば、誰でも簡単にできるものとして、もっとも始めやすい副業と言えます。
一般的には、本業とは別に、違う会社(または個人)で労働を行うことになりますので、ビザの問題が大きくかかわってきます。
就労系のビザを持つ外国人の場合、本業であろうと副業であろうと、行っても良い仕事は厳格に限定されています。
就労ビザを持つ外国人がやってはいけない時間労働系の副業
通常の就労ビザが許可されないような職種は行ってはいけません。
たとえば飲食店のホール・キッチンスタッフ、工場労働者、UberEatsのドライバー、水商売、マックジョブ(= McJob)、その他の単純労働といったお仕事はできません。
マックジョブ(= McJob)とは、ここでは、ほとんどスキルを必要としない単純労働を指しています。店舗店員、コンビニ店員といった職種が、果たしてマックジョブかどうか、就労ビザが取得できるかできないか判断が難しい職種(行政書士の界隈では、「限界事例」と言っています)は、安全のためにはやらない方が無難でしょう。
また、専門学校卒業の専門士の外国人として就労ビザを取得した方は、たとえ高いスキルが求められる職種であったとしても、専門学校で学んだ専門が活かされない職種の場合は、ビザに該当しない恐れがあります。このような場合も、慎重である必要があります。
コロナ特例により、就労ビザを持っている方でも、マックジョブ(= McJob)ができる例外はありましたが、あくまでも例外です。
就労ビザを持つ外国人がやることのできる時間労働系の副業
本業でビザが許可されているのと同じ職種であれば、副業としてもビザの上でも認められるケースが多いです。
例えば、A社で働いているITエンジニアが、B社でも同じエンジニアとして副業することになった場合は、許可される可能性が高いです。
しかし、具体的に何のビザを持っているかにより、手続きが異なりますので、注意が必要です。
「技術・人文知識・国際業務」ビザ
「技術・人文知識・国際業務」ビザの場合、14日以内に、入管への届出義務を履行すれば仕事を開始することができます。
B社だけでなく、さらにC社といった具合に、3社で働くこともできますが、それぞれにおいて入管法上の届出が必要です。
届出を適法に行わなかった場合、次回のビザ更新申請や、変更申請で不利になることがあります。
この届出は、「契約機関に関する届出」と言います。詳しくは、入管局のホームページをご覧いただくか、お問い合わせください。
「企業内転勤」ビザ
「企業内転勤」ビザの場合は、A社で働くために派遣された駐在員ですので、在留資格を別のもの(たとえば「技術・人文知識・国際業務」ビザ)に変更するか、または、資格外活動許可を受けない限り、副業を開始することはできません。
資格外活動許可については、下記の「高度専門職1号ロ」ビザで副業する場合と同じになります。
「高度専門職1号ロ」ビザ
「高度専門職1号ロ」ビザの場合は、パスポートにホチキス留めされている「指定書」に記載されている会社でしか勤務できません。「指定書」にA社しか書いていない場合、B社で働くための、資格外活動の個別許可を申請する必要があります。
許可後、パスポートに「資格外活動許可」のシールが貼られたのち、副業を開始することができます。
A社とB社とでどちらが本業でどちらが副業と言えないような場合には、A社とB社の2社で高度専門職ビザの指定を受けることもできます。
資格外活動かどうかの判断ですが、資格外活動とは、本来の在留目的となる活動、つまり本業の妨げにならない活動を意味します。
英語・外国語の先生(教師)の場合
ITエンジニアを例として挙げましたが、英語・外国語の先生(教師)の場合は、在留資格の種類も多岐にわたり、さらに複雑怪奇を極めます。同じ英語を教えるという活動(労働)を行っていたとしても、一般企業で教えるのと、学校で教えるのとでは、ビザの種類が変わるため、同じ職種でも、資格外活動許可を受ける必要があるのです。これは、一般の外国人はおろか、日本人や企業の人事担当の方でも把握するのが難しいことでしょう。
週末起業の場合
外国人によっては、より高みを目指すために、サラリーマンをしながら、自分で起業しビジネスを開始することを希望する方もいらっしゃいます。
例えば、楽天やAmazonに出品し物品販売を行ったり、せどりをおこなったり、小規模のビジネスであっても、在留資格上の問題となります。これらの起業活動を適法に行うためには、「経営・管理」の資格外活動(個別許可)を取得するといった方法が考えられます。
難易度は非常に高く、投下する資本も少なくないため、副業としての起業活動は、外国人にとっては非常にハードルが高いものと言えます。
副業を行う上で注意すべき入管法上の手続き
このように、在留資格の種類により、非常に複雑な手続きが必要になります。
適正な手続きをしないで、副業を開始してしまった場合、たとえそれが故意でなくても不法就労として罰則を受ける可能性がありますし、在留状況不良として、永住申請や次回のビザ更新申請の際に不利に斟酌されることがあります。
たとえば、永住が不許可になったり、もともと5年のビザを持っていたのに、1年のビザしか更新できなかったということが起こります。
一方、一時的な謝礼の収入は、ビザの問題となる副業とはみなされませんので、届出等の手続きを行う必要はありません。ご安心ください。
例えば、
- 親戚のためにベビーシッターを一時的に行い謝礼をもらった、
- 単発の講演を行って、数万円の謝金を得た、
- ボランティアでNPO活動のイベントで物品販売を手伝った、
などです。
これらは、特に手続きを行う必要なく、副業できます。あくまでも一時的な収入に限られます。定期的に講演活動を行っている場合には、ビザの問題が発生します。
そして、副業の所得が20万円を超えると、確定申告を行う義務が生じますので、税務上の手続きには十分ご注意ください。
当然ですが、脱税により処罰された場合は、即、在留状況不良となり、ビザに影響がでます。
まとめ
これまで見てきましたところ、就労ビザをお持ちの外国人にとって、時間労働系の副業を行うことは、手続き上の落とし穴が多く、できればやらない方が良いのではないかと言うのがわかってきました。
入管法の在留資格の分類から見ても、まだまだ新しい働き方という時代に追い付いていないのが現状です。法律上、副業のような働き方がこれほどまで普及するとは、想定していなかったのでしょう。
外国人が取りうる戦略は、なるべく早く就労系ビザから「永住者」ビザに変更して、日本人と同じ条件で副業できるようになることです。外国人が、FIRE(Financial Independence, Retire Early)になれるのは、永住ビザを取得してからです。
高度人材の優遇措置があり、永住への道も遠くなくなっています。以前は来日10年かかっていましたが、能力のある優秀な高度人材であば、1年~3年で永住申請できるまでに短縮されています。
永住ビザに変更するまでは、副業は投資運用系でコツコツ運用していき、時間労働系副業は行わない、というのが最善策でしょう。
もっとも、教職の方に多いのですが、非常勤講師の場合は、本業の収入のみでは収入が足らないので、永住ビザが取得できない、という方もいらっしゃいます。そのような場合は、転職も検討候補に入れつつ、適法な手続きで時間労働系の副業をしていくという方法があるでしょう。
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