日本国籍取得について

今回は、日本の国籍を取得する帰化(Naturalization)について、説明します。

帰化とは、一般的に日本の市民権(Citizenship)を得ることを指しますが、帰化申請の場合、原国籍を放棄して、日本の国籍を取得し、日本国の国民になることを言います。

権利を得るための権利(The Rights to have Rights)

国籍は、「権利を得るための権利(The Rights to have Rights)」とも呼ばれます。

国籍は、さまざまな権利の基盤になります。国籍があることで、はじめて選挙権、被選挙権をはじめとする、各種の権利にアクセスすることができるようになります。もちろん、外国人にも人権などの各種権利が保障されますが、それは往々にして、在留資格に規定する制限内で権利を享受できるにすぎません。

その意味で、この帰化申請は、在留資格の取得と比べても、とても大きな意味を持っています。

そして、日本のことが好きで、日本人になりたいという強い思いを持ちながら、日本で一生懸命に働き、義務を果たし、日本社会の構成員として認められるだけの努力を払った外国人の方に是非申請していただきたい手続きです。

永住との違い

日本にずっと住むことができる点で、永住権(Permanent Residence)とよく似ていますが、次のような違いがあります。

  • 日本の国籍を取得するため、元々の国籍は捨てなければならない。(永住の場合、国籍は元のままです。)
  • 自分の国に帰った場合、外国人として扱われてしまう。
  • 日本人となれば、日本のビザ、再入国等の手続きは一切なくなる。(永住の場合は、ビザ更新の手続きはないものの、永住取り消しや再入国の手続きが発生する場合があります。)
  • 選挙権、参政権、公務員への就職、社会保障面で日本人と同等の権利を持つ。

日本のパスポート

日本の国籍を取得すると、日本のパスポートを所持することになります。

日本のパスポートは、172カ国のビザ免除規定プログラムがあり、フィンランド、ドイツ、スウェーデン、アメリカ合衆国、イギリス、デンマーク、カナダに次いで、使い勝手の良いパスポートであることは間違いありません。

このため、持っているパスポートではビザなし渡航できる国がほとんどないとご不満の国際ビジネスマンにとっては帰化のメリットがあると言えるかもしれません。

そうでなければ、まずは永住権をとって、しばらく様子を見て、日本に骨をうずめる覚悟ができてからの申請でも遅くないと思います。

 

帰化のための6つのポイント

次に、帰化の条件についてみていきます。国籍法5条1項に6つの条件が規定されています。

  1. 引き続き五年以上日本に住所を有すること。

  2.  二十歳以上で本国法によつて行為能力を有すること。

  3. 素行が善良であること。

  4. 自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によつて生計を営むことができること。

  5. 国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によつてその国籍を失うべきこと。

  6. 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入したことがないこと。

※日本で生まれた人、日本人と結婚している人、両親が日本人である人については、上記の条件が一部緩やかになっています。

(中文翻译)

  1. 申请者须在日本连续拥有住所5年以上。

  2. 申请者为20岁以上,具有申请者本国法律规定的成人行为能力。

  3. 申请者须品行善良。

  4. 申请者本人或其配偶等其他亲属拥有足够维持生计的资产或技能。

  5. 申请者应无国籍,或申请者应取得日本国籍时放弃原有国籍。

  6. 申请者过去没有试探或主张暴力颠覆日本国宪法实施后根据日本国宪法成立的政府的行为,或组织、加入有类似性质的政党组织。

以上6点が帰化許可の条件となっていますが、

実は、上記にご紹介した条件以外にも、日本語の読み書き、会話の能力があることが前提条件となっております。

自筆で帰化動機書を書いたり、また、法務局で日本語での面接や日本語のテストもあります。

日本語能力が必要です

国籍法5条1項に6つの条件には、日本語能力要件はどこにも書いてありません。

しかしながら、実際の申請には、必ず求められる要件で、特に近年、厳格に審査されていると感じます。

申請書類の「履歴書」の書式が変更になりました。「使用言語」の記載が必要になりました。

日本語ができることを確認していることがわかります。日本語能力は重視するようになっています。

特に、会話だけではなく、「読み書き」も見ています。

例えば、事前相談のときに、法務局の担当者の方の言葉を、日本語でメモしているかどうか、という点まで見ています。

母国語でメモしているような場合、日本語能力が不十分では?と疑われて、テストが行われる場合があります。

だからと言って、日本語でメモを取れば、テストが行われないというわけではないと思いますが、事前相談の端々で、日本語能力をチェックされているということです。

目安としては、日本語能力試験N1またはN2があったほうが良いと感じます。

日本の大学や専門学校を卒業している外国人であっても油断しない方が良いです。

日本の留学歴がない者の場合は、申請できるレベルかどうかを慎重に考えてください。

永住申請の条件を満たさないけど、帰化ならできると軽く考えて申請したいというのは間違いです。

帰化申請より先に本来であれば永住申請をするべきでしょう。

必要書類一覧

作成が必要な書類

  • 帰化許可申請書
  • 親族概要書
  • 帰化動機書
  • 履歴書
  • 生計概要書
  • 事業概要書 など

集める書類

  • 住民票
  • 国籍証明書
  • 親族関係証明書(公証書)
  • 源泉徴収票など納税証明書
  • 在職証明書
  • 出入国記録証明書 など

 

「引き続き5年以上日本に住所を有している」とは?

永住申請の場合は、一般的に10年以上日本に住んでいることが条件となっています。それに比べて「5年」の条件は一見すると、簡単にクリアできるかのように見えます。

 

しかし、「住所」というのがポイントで、民法22条では、各人の生活の本拠を住所と定めていて、この場合も同じだと考えられています。

例えば、留学生Aさんが来日して日本語学校1年と大学4年間あわせて5年間の間、東京都新宿区にアパートを借りて住んでいたとします。本人は引っ越しもしてないし、郵便物も届くし、在留カードの住居地の欄にも東京都新宿区の住所が書いてあるので、この条件を満たしていると思うかもしれませんが、留学ビザで日本に滞在しても、残念ながら「生活の本拠」とは見なされないのです。

 

就労系のビザを取得してはじめて生活の本拠ができることになります。留学生Aさんの場合は、大学を卒業後、就労系ビザを取得し、日本で仕事を始めてから、少なくとも3年以上仕事している状態が経過した場合に、帰化のこの条件が認められることになります。そうすると、実際には来日して8年後に帰化申請ができることになりますので、永住と比べてハードルが低いということはないことが分かるかと思います。

 

また、参考として、日本人と結婚した外国人も、日本で配偶者として3年暮らした実績があれば、「生活の本拠」があると認められます。

 

さらに、「引き続き」とあるのは、中断なくという意味ですので、昔は日本で暮らしていたが、一旦中国に帰って、数年後また再来日した、という場合には、通算では来日年数はカウントできません。

特に注意が必要なのは、在留カードは中断せず切れてないけれど、実際は日本にほとんど住んでおらず、年間ほとんどは本国か第三国にいました、という方もこの条件は満たしていません。特別な事情がある場合には、考慮される可能性もありますので、詳しくはご相談ください。

 

帰化申請の流れは?

帰化の申請は、ビザ申請と違って入国管理局ではなく、法務局に申請に行きます。まずは法務局に相談に行き、そこで集めるべき書類は何か、自分で作成しなければならない書類は何かを聞いて、提出書類を作成していきます。

日本の役所や会社からの書類だけでなく、中国に住んでいる両親等親族の関係を証明する書類といった中国で発行してもらわなければならない書類もあります。

取得に時間がかかるため、まずは母国の書類を先に準備した方が良いでしょう。母国にいる親族が代理で取得できることが多いと思います。

また、申請者の出入国記録など、交付まで30日程度といった時間がかかるものもあります。これらすべてを集めてから法務局に申請し、受付されます。その後、数カ月の審査を経て、1年近くかかって許可されることとなります。

現在、コロナ禍のため、東京法務局においては、申請が受理されてから、5、6カ月後にようやく面接となることが多いようです。場合によっては、別途、家庭訪問や、日本語のテストが行われます。

なお、法務省の統計によると、2020年(令和2年)の帰化申請者は8,673人、許可されたのが9,079人、不許可が900人となっています(暦年の人数)。コロナの影響により、申請人数は例年と比べて減りました。申請者数は、平成(1989年)に入って以降、最も少ない人数となっています。しかし、不許可の割合は年々増えている傾向にあります。

国籍別の許可者は次の通りです。

(法務省民事局より)

 

帰化相談質問票

東京法務局では、2020年8月から、初回相談時に下記の「帰化相談質問票」を記入して持参することを求められています。

直接訪問するのではなく、必ず事前に電話で予約してから、管轄の法務局を訪問してください。相談時の持ちものは以下のとおりです。

  1. パスポート ※期限切れのものを含む
  2. 在留カード (特別永住者の方は,特別永住者証明書)
  3. 運転免許証 (又はマイナンバーカード) ※持っていない場合は不要です。
  4. 記入済みの帰化相談質問票

 

参考ページ

帰化についてのお問い合わせはこちら

または、お電話でお問い合わせください。

電話:03-6264-9388

微信号:visa_hengshan

Line ID: visa_yokoyama

Email: info@lawoffice-yokoyama.com

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